- Concept of restored products -
【オーバーホール・レストア商品取り組みについてのコンセプト】
レストアベースとなるカメラボディ・オールドレンズは1925年~1960年代のヴィンテージ品中古一点物、
「機械制御式フィルムカメラ」です。
半世紀以上、「様々な人々の手を渡り歩き世界中を旅して来た」と言う、壮大なロマンを感じ歴史観さえ楽しめる、
非常に希少価値の高い逸品です。
設計やギミックには驚かされるばかりの技術が詰め込まれており、パーツ一点一点も非常に耐久性のある部品ばかりです。
半世紀以上も前のビスでありながら錆びて朽ちたものはほとんど無いのです。
そんな技術の詰まったメカニックや耐久性のある部品だからこそ、当時の純正部品をそのまま活用し、如何に再生させるかに
価値を見出すと言うコンセプトに基づき再生・レストアに取り組んでおります。
現代のパーツで新品の製品を造っているのではありませんのでご理解頂けます様お願い申し上げます。
カメラボディ・レンズは厳選された比較的状態の良い中古一点物を、現代において気持ちよくお使いいただけるように、
ベターベストな状態にRestoreしたものです。
半世紀以上もの間現役で使用されてきた経緯があり、
経年なりの汚れやカビ、スレや劣化・アタリ・凹み・傷・錆がありました。
完全オーバーホールにより、カビや錆・汚れの除去、板金補修・研磨・ブラスト表面再生処理・Repair・Repaintして、
出来うる限り綺麗にRestoreしておりますが、取り切れない痕跡がある場合がございます。
それはこのカメラ・レンズの生きてきた証であり勲章ですので何卒ご理解頂けますよう予めご了承ください。
その歴史感も味わいお楽しみください。
個体毎のコンディションは詳細を説明させて頂いております。
説明文や画像でご確認ください。
【機械制御式カメラシャッタースピード精度】
「機械制御式フィルムカメラ」の最大の魅力や特徴、ウィークポイントでもある、
「シャッタースピード精度」について、ご説明させていただきます。
今やすっかりデジタルが当たり前の時代になり、機械制御式フィルムカメラは過去の遺物となりつつあります。
しかし、機械制御式故の、ギア・バネ・梃だけで動く超アナログ的な魅力はノスタルジアを超えた価値が有ります。
現代のカメラは電子制御でデジタル表示された数値通りのシャッタースピードが実現出来ます。
しかし残念ながら機械制御式カメラのシャッタースピードは、駆動バネのテンションとスローガバナーと呼ばれる
ゼンマイのレジスタンスによって、超アナログ式で制御されている為に、設定表示数値通りの
シャッタースピードを実現することは当時の制御方式では無理があったのでしょう。
当時生産販売されていた機械制御式カメラのフォーカルプレーン方式カメラシャッタースピードの公差は、
1/200以下のスピードで+100%-50%、その他の目盛りについて、±50%となっており、
現代の電子制御のカメラではとても許容できる範囲ではございませんが、
当時においては公差としてJIS規格で公認されていたようです。
(日本工業規格 JIS B 7107(1953)輸出携帯写真機による)
この当時の超アナログ機械制御式カメラの持ち味である「ギミックや曖昧さ」もクラシックカメラの魅力でもあると考えます。
半世紀以上経年使用されてきた経緯があり主要部品の劣化も少なからず否定できません。
現役の高精度を求めるマシンとしての役割よりも文化遺産や骨董的価値として見直されております。
Classic Cameraに高い精度を求め、この歴史的な技術的価値のある純正主要部品を、
現代の新品代替部品に取替えても何の意味もありません。
Classic Cameraに魅力を感じて頂けるお客様には、「機械制御式フィルムカメラ」の
シャッタースピード精度の低さ・曖昧さについては、
何卒ご理解とご了承いただき温かいお気持ちで接していただけますよう心よりお願い申し上げます。
上記掲載の写真は当工房のシャッタースピード計測器です。
大手光学機器メーカー様でも採用されている非常に信頼性のある機器でございます。
1/1000のスピーード計測時の写真です。
特に拘っておりますのが、先幕・後幕の速度、
そしてスリット開始位置・中央・スリット閉口位置、其々の露出時間です。
全てが均一な露出時間になり、露出ムラが発生しない様に調整しております。
これは経験値豊かな技術者が、シャッタースプリングテンション・
シャッタータイミング偏心カム・シャッターブレーキ、等により
複雑に絡み合うバランスを取り微調整しなければ実現できません。
これが実現できた時に、左端から右端迄均一に露出され綺麗な写真が現像されます。
当工房ではそれを実証する為にRestore完成後に実写撮影試験を行い、
計測機器による数値の検証だけではなく実際に露出ムラが無く、
綺麗な写真が撮れているかどうかを検証しています。
Restore品販売ページに実写写真を作例として掲載しているのはそのエビデンスです。
また、当工房のシャッタースピードの許容される誤差についてですが、
JIS B7091-1992に規定されている誤差に準じております。
国際規格はISO516-1986です。
シャッタースピードの調整は高速・低速の調整共に、「機能する・写真を撮る事」を
最優先にベターベストな状態に調整しております。
全てのスピードで写真撮影が気持ちよく楽しめますよう調整しております。
特に配慮している項目として、高速シャッターは1/1000が確実に撮影できる事、
低速シャッターでは全てのスローダイアルで機能する事です。
上記JIS規格の許容される誤差内の数値につきましては、
公差としてお受入頂きますようお願い申し上げます。
シャッタースピードは基より、機能面での検証は全て行っております。
動作確認検査で全てのシャッタースピードで計測を行い、結果を基に間違いのないお品を提供させていただいております。
撮影出来ないカメラは、販売いたしませんのでご安心くださいませ。
尚、シャッタースピード調整はRestore作業完了時と、最終出荷前検査時に計測器にて実施しておりますが、
時間の経過や急激な温度変化によっても変化する事が有ります。
高速シャッターで端が黒く写らなくなってきた場合には、幕速が変化し
スリットが正常に空かなくなってきたと言うことです。
この様な現象が現れた場合、お気軽に当工房までお問い合わせください。
再度調整いたします。
【光学部品/レンズ】
レストア前の光学部品も例外なく、半世紀以上経年使用されてきた経緯があり、
それなりの使用感や劣化・汚れ・等、が有りました。
しかし、くたびれた光学部品も一点一点丁寧に洗浄・再生することにより、少しでも当時の輝きを取り戻せるよう
ベターベストな状態に機能の復活を果たしております。
塵や埃と言った不快な混入物や汚れやカビ・錆と言った経年使用されたくたびれについては、綺麗に除去しております。
表層面に付着したこういった汚れについては綺麗に除去できるのですが、バルサム切れが原因によるものは除去出来ません。
バルサムに起因する線状劣化痕は修復不可能ですのでご容赦頂けます様お願い申し上げます。
特にファインダーパーツ・光学レンズは、新品部品に交換対応することは敢えてしておりませんが、
クリアーに視認性が向上し、二重像もハッキリ視認出来、焦点合致精度向上も機能再生出来ております。
決して完全に新品の様にとまでは言えませんが、半世紀以上前の光学部品であることを考慮すれば、充分に機能の再生や気持ちよくご使用いただけるレベルには再生・復活できていると考えております。
ヴィンテージ中古品一点物を綺麗にフルレストアしておりますが、
新品又はそれに準ずる新品同様品の基準を求めるので有れば、残念ながらそのご要望にお応えすることは出来ません。
丁寧に洗浄・再生は可能な限りの作業はしておりますが、
個体差により取り切れない痕跡が残っている個体も有る場合がございます。
決して新品部品に交換した光学部品ではありませんので、購入の際には充分商品の現状をご確認・ご理解ご了承の上、
ご判断くださいますようお願い申し上げます。
ご不明な点は、購入手続きに進まれる前に、何なりとお気軽にお問い合わせください。
タイムリーに対応させていただきます。
【シャッター幕】
シャッター幕は絹製片面ゴム引き布を使用し其々の機種に適合する様丁寧に手作業で作成されております。
金属のシャッター幕ドラムやテンション軸に特殊な接着剤で貼合わせを行います。
この作業は熟練した技術者においてもかなり神経を遣い慎重な作業がなされますが、何分人の手による細工作業の為に、
個々に個体差が有り、歪みも発生することが有ります。
しかしこれはあくまで許容される公差の範囲内ですので露光トラブル、
特に光線漏れ等は有りませんのでご安心ください。
また機種によってはシャッターブレーキと呼ばれる機構が無い機種も有りますので、
シャッターを切った直後の後幕跳ね返り現象により若干の撓みが有る場合もございますが、
露光トラブル・光線漏れ等は有りませんのでご安心ください。
この発生した公差による現象は不具合・動作不良には当たりませんので予めご了承ください。
フィルムカメラにおいてシャッター機構は最重要機構と位置付けており、
作業中・完成後共に露出動作検証を実施しております。
合格品のみ出荷しておりますのでご安心ください。